離婚届の提出先とスムーズな提出のために必要なこと

離婚を決意したら、まずは離婚届を作成し、提出する必要があります。しかし、離婚届の提出先について正確に理解していないと、手続きがスムーズに進まないこともあります。本記事では、離婚届の提出先と提出の前に考えておくべきことや注意点ついて解説します。

離婚届を提出できる場所

離婚届は、以下のいずれかの市区町村役場に提出することができます。

提出先

  1. 夫または妻の本籍地の市区町村役場
  2. 夫または妻の住所地の市区町村役

本籍地とは、戸籍が登録されている場所のことで、住所とは異なる場合があります。離婚届を提出する際には、本籍地を事前に確認しておくとスムーズです。

提出できる時間

市区町村役場の窓口が開いている時間内(通常は平日の8:30〜17:15)であれば、窓口で提出が可能です。ただし、多くの自治体では時間外窓口を設けており、土日や夜間でも提出できます。

時間外に提出する場合は、窓口での即時確認ができないため、後日内容の確認が行われることになります。もし書類に不備があれば、後日連絡が来るため、日中に提出できる場合は窓口の営業時間内に行くことをおすすめします。

提出時に持参するもの

離婚届を提出する際に必要なものは以下の通りです。

提出時に持参するもの

  • 離婚届(証人欄に成人2名の署名が必要)
  • 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなど)
  • 戸籍謄本(本籍地以外の役場に提出する場合。令和6年3月からは提出先の役場でも取得可能になりました。)
  • その他必要書類
  • 調停離婚の場合は調停調書の謄本
  • 和解離婚の場合は和解調書の謄本
  • 認諾離婚の場合は認諾調書の謄本
  • 審判離婚の場合は審判書の謄本と確定証明書
  • 判決離婚の場合は判決書の謄本と確定証明書
  • 印鑑(訂正があれば訂正印として使うため)

提出時の注意点

記入ミスに注意

記入漏れや間違いがあると、受理されずに再提出が必要になります。記入ミスがあると、提出した役場から連絡が来ることもありますが、再度窓口へ足を運ぶ必要があるため、できるだけ最初に正確な記入を心がけましょう。

特に証人の署名欄の記入漏れが多いため、事前に確認しましょう。証人は成人である必要があり、署名がなければ離婚届が受理されません。署名欄の誤記入がある場合も訂正印が必要になるため、慎重に記入してください。

また、提出後に不備が判明すると、手続きが長引くだけでなく、再度証人に署名を依頼しなければならないケースもあります。そのため、事前に第三者に内容を確認してもらうのも一つの方法です。

離婚後の姓の選択

婚姻時の姓をそのまま使用する場合は、離婚後3カ月以内に「婚氏続称」の手続きをする必要があります。この届を提出しない場合、離婚後は旧姓に戻ることになります。しかし、仕事や子どもの学校関係の手続きを簡便にすることができるため、婚姻時の姓をそのまま使い続けたいと希望する方には便利な制度です。

ただし、一度この届を提出すると、再び旧姓に戻すには「家庭止むをえない事由」が必要です。この場合家庭裁判所に対し「氏の変更許可の申立て」をして、家庭裁判所が認めると旧姓に戻すことができます。

そのため、将来旧姓に戻すことが予想される場合には慎重に判断すべきです。また、離婚をすると戸籍の筆頭者になっていない方は戸籍から抜けることになりますが、子どもはそのまま筆頭者の戸籍に残ります。もし、子の戸籍を変更したい場合には「子の氏の変更許可申立て」をする必要があります。

未成年の子どもがいる場合

親権者を決めて離婚届に記載する必要があります。親権者は通常、父母の話し合いで決定しますが、合意が得られない場合には家庭裁判所での調停や審判が必要になります。親権には、子どもの生活や教育、医療などの決定権が含まれるため、慎重に検討する必要があります。

また、離婚届には、養親権者の指定の他に養育費と面会交流の取り決めの有無を確認するチェック欄があります。これは、近年、子どもの貧困の増加が見受けられるようになったり、面会交流でトラブルになるケースが増加しているため、今一度子どもについて考えて欲しいという狙いから設けられたものです。ただし、養育費や面会交流の取り決めをしないと離婚届を提出できないわけではありません。

まとめ

離婚届の提出先は、夫または妻の本籍地または住所地の市区町村役場です。役場の開庁時間内に提出するのがベストですが、時間外窓口も利用可能です。時間外に提出する場合、受理されるまでに時間がかかる可能性があるため、なるべく開庁時間内に手続きを行うのが望ましいです。

また、提出前に必要書類をしっかりと確認し、記入ミスがないように注意しましょう。離婚届の不備があると、後日修正や再提出を求められることがあり、手続きが長引く原因になります。特に、証人欄の記入漏れや戸籍謄本の準備不足などはよくあるミスの一つです。

離婚届を提出することで、正式に法律上の婚姻関係が解消されますが、それに伴いさまざまな手続きが必要になる場合もあります。例えば、離婚後の氏をそのまま使う場合には、「婚氏続称変の手続きが必要になります。しかし、この手続きを利用すると、旧姓に戻す場合には「やむを得ない事由」が必要になり、裁判所での手続きが必要になります。また、子どもを自分の戸籍に入れる場合には、新しい戸籍を作り「子の氏の変更許可申立て」をする必要があります。

離婚は人生の大きな転機となるため、事前にしっかりと準備をして手続きを進めることが大切です。離婚後の生活や手続きについても考慮し、必要な情報を集めた上でスムーズに進めるよう心がけましょう。

小川たけひろ行政書士事務所では、離婚届の書き方のご相談、離婚届の証人代行などを承っております。お気軽にご相談ください。

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