離婚後も夫の会社と関係が続く?「業務委託契約書」でトラブルを防ぐ

元夫と仕事上対立して悩む元妻

離婚をすれば、夫婦という関係は終わります。
ですが、それですべてのつながりがスパッと消えるとは限りません。特に、夫が会社を経営していて、妻がその業務に関わっていた場合、離婚後も“仕事上の関係”が続くケースは珍しくありません。

「経理だけは続けてほしい」
「顧問という立場で関わってもらえないか」

そんな依頼を受けて、離婚後も元夫の会社に関わる女性は実際に多くいらっしゃいます。

一方で、このような関係性は、金銭トラブルや感情のもつれが表面化しやすいという側面も。
そこで今回は、元配偶者と仕事上のつながりが残る場合に必要な「業務委託契約書」について解説します。

離婚後も仕事で関わるのは、意外とよくあること

離婚後も元夫の会社と仕事を続ける。
第三者から見れば少し不思議に映るかもしれませんが、現実にはよくある話です。以下のようなケースでは、離婚後も自然と関係が続いていくことがあります。

妻が夫の会社で経理や事務を担当していたケース

中小企業や個人事業では、妻が経理や事務の実務を担っているケースが非常に多く見られます。
「家庭の延長でやっていた」「外部に頼むより安心」という理由で、日々の帳簿入力や請求書作成、給与計算まで幅広く任されていることもあります。

離婚後も、「新しい人材がすぐに見つからない」「妻の方が業務に精通していて引き継ぎが難しい」などの理由から、業務を継続せざるを得ない状況が生まれます。

妻がフリーランスとして仕事を受けていたケース

妻がデザイナー、ライター、広報、SNS運用担当など、フリーランスとして夫の会社から業務を受けていた場合も、離婚後もそのまま契約が継続することがあります。

「仕事は仕事、プライベートは別」と割り切って仕事を受け続けるケースもありますが、感情の整理がついていない状態で業務が続くと、徐々に負担を感じることもあります。

妻が実質的に経営に関わっていたケース

登記上は役員ではないものの、創業期から会社の立ち上げや運営を支えてきた妻の場合、会社への思い入れも強く、「完全に手を引くのは難しい」と感じる方も多いでしょう。

会社は一つの“人生の成果”とも言えます。そう簡単に関係を断ち切れないのは、自然な感情です。

でも、「信頼していたからこそ…」がトラブルのもとに

「これまで通りで大丈夫」「信頼関係があるから書面までは必要ないよね」

離婚後も元夫の会社と仕事を続ける女性から、よく聞かれる言葉です。
確かに、これまで夫婦として信頼関係を築いてきた相手ですし、「いまさら契約書を作るなんて、よそよそしい」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。

ですが、“元”夫婦という立場になった今だからこそ、仕事上のルールを明確にしておかないと、思わぬトラブルに巻き込まれる可能性が高くなります。

実際に、こういったケースで起こりやすいトラブルとしては、次のようなものがあります。

  • 報酬が突然減額された、あるいは支払われない
  • どこまでが業務範囲なのか曖昧で、トラブルに発展
  • 契約終了のタイミングがわからず、ズルズル継続
  • 離婚時の感情が仕事に持ち込まれ、やり取りがギクシャクする

これらは「書面で取り決めていない」ことが原因で起こる問題です。
だからこそ、離婚後に元夫の会社と関わりを持ち続けるのであれば、業務委託契約書の作成は不可欠なのです。

業務委託契約書を作成しておくことで安心できる

業務委託契約書を作成することで、以下の点が明文化されます。

  • 業務の内容(経理補助、資料作成、WEB更新など)
  • 報酬額と支払方法(源泉徴収の有無も含む)
  • 契約期間(自動更新の有無、終了時期)
  • 秘密保持義務(社内情報を外部に漏らさない)
  • 契約解除の条件(○日前までの通知など)
  • 紛争時の取り決め(どの裁判所で扱うか等)

これにより、一方的な契約解除や報酬の未払いといったトラブルから自分を守る“盾”になります。さらに、「この契約内容なら納得できる」と、お互いの立場を尊重した合意ができていれば、関係もスムーズに続けやすくなります。

まとめ

離婚後の元夫婦関係には、少なからず感情のしこりが残ります。
その感情が仕事に持ち込まれると、信頼関係も業務の効率も大きく損なわれてしまいます。

だからこそ、「契約書に基づくビジネス関係」に切り替えることが非常に重要です。

書面化することで、あいまいだった関係が明確になり、お互いにとって安心・納得のいく環境を整えることができます。
元夫の会社に関わり続ける“元妻”こそ「自分を守る契約書」を準備する必要があります。

もし、元夫の会社との関係に不安を感じているのなら、まずは当事務所にご相談ください。
状況を丁寧にお伺いした上で、お客様に合った業務委託契約書の作成をサポートいたします。

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