公正証書を失くしてしまったけど、再発行してもらえるの?
遺言や離婚協議書を公正証書にした場合、その保管方法も様々です。
机の中や引き出しに保管する方もいれば、なかには、銀行の貸金庫に保管する慎重派の方もいらっしゃいます。
しかし、内容を確認しようとして、保管していたはずの場所を探してみたが見つからない。このような場合は、再発行してもらえるのでしょうか?この記事では、公正証書遺言と離婚給付公正証書の再発行について解説いたします。
- . 公正証書を失くしてしまったけど、再発行してもらえるの?
- 1. 公正証書を作成したら正本と謄本が交付される
- 2. 公正証書の「原本」「正本」「謄本」とは
- 3. 公正証書を無くしてしまったら再発行してもらえるの?
- 4. 公正証書を再発行してもらうには?
- 4.1. 公正証書遺言の場合
- 4.1.1. 1請求先
- 4.1.2. 2請求者
- 4.1.3. 3請求の条件
- 4.1.4. 4 必要書類
- 4.1.4.1. 【遺言者本人が手続きする場合】
- 4.1.4.2. 【遺言者の代理人が手続きする場合】
- 4.1.4.3. 【利害関係人が手続きする場合】
- 4.1.4.4. 【利害関係人の代理人が手続きする場合】
- 4.1.5. 5 再発行手数料
- 4.2. 遺言を作成した公証役場がわからない場合はどうすれば良い?
- 4.3. 離婚給付公正書の場合
- 4.3.1. 1請求先
- 4.3.2. 2請求者
- 4.3.3. 3必要書類
- 4.3.3.1. 【当事者本人が手続きする場合】
- 4.3.3.2. 【当事者の代理人が手続きする場合】
- 4.3.4. 4再発行手数料
- 5. 公証役場を利用する際に注意すべきこと
公正証書を作成したら正本と謄本が交付される
公正証書を作成すると原本は公証役場で所定の期間保管され、公正証書遺言の場合、遺言者に正本と謄本1通ずつが交付されます。
また離婚給付の公正証書を作成した場合、債権者(金銭等を受け取る方)には正本、債務者(金銭等を支払う方)には謄本が交付されます。
公正証書の「原本」「正本」「謄本」とは
では、原本、正本、謄本はどのように違うのでしょう。
公正証書の原本とは、本人または代理人、証人、公証人がそれぞれ署名・押印した唯一無二の書面をいいます。
原本は、公証役場に所定の期間保管され、遺言者など当事者に渡されることはありません。
正本は、公正証書の原本の内容を写したものであり、原本と同じ効力を備えています。
謄本は、公正証書の原本の内容を記載した写しとなり、効力は備えていませんが、公正証書の内容を証明する資料として利用することができます。
相続手続きをする場合には謄本で手続きすることが多く(まれに正本を要求されることもある)実務上「正本」と大きな違いはありません。
公正証書を無くしてしまったら再発行してもらえるの?
「公正証書を紛失してしまったけど、どうしたら良いですか。」というご相談をいただくことがあります。
公正証書を紛失した場合、公証役場に原本が保管されている限り、必要書類を用意し、手数料を支払うことで謄本を再発行してもらえます。
ここで、原本が保存されている限りと書きましたが、公正証書の保管については法律に定めがあり、保管期間は20年となっています。離婚給付公正証書の保管期間がこれに当たります。
ただし、「特別の事由」により保管の必要があるときは、その事由が存在する間は保管しなければならないとされています。
そして、公正証書遺言の場合が、この「特別の事由」にあたると解釈されており、遺言者の死亡後50年、証書作成後140年または遺言者の生後170年間保管する取扱いとしています。
なぜこのような長い保管期間が設定されているのでしょうか。
理由は、公証役場は遺言者の生死を把握できないからです。
生死が定かでないのに遺言書の原本を廃棄することはできません。
そのためかなりの余裕を持って保管期間が設定されています。
このように、長期間、原本が保管されるため、所定の保管期限さえ過ぎていなければ、再発行してもらうことは可能です。
公正証書を再発行してもらうには?
では、公正証書を再発行してもらうためにどのような手続きが必要なのでしょうか。
公正証書遺言の場合
1請求先
公正証書遺言を作成した公証役場
2請求者
①遺言者
②利害関係人
・法定相続人
・受遺者
・遺言執行者
③ ①②の代理人
3請求の条件
① 遺言者の生存中は遺言者とその代理人のみが請求可能
② 遺言者死亡後は上記ⅱの者及びその代理人が請求可能
4 必要書類
【遺言者本人が手続きする場合】
・印鑑証明書(発行後3か月以内のもの)と実印
または
・運転免許証、マイナンバーカード、旅券(パスポート)など、顔写真付きの公的な証明書 どれか1つ
【遺言者の代理人が手続きする場合】
・本人の実印を押した委任状
・本人印鑑登録証明書(3箇月以内に発行されたもの)
・代理人の身分証明を証明するもの
ア 代理人本人の印鑑登録証明書(発行後3箇月以内のもの)+実印
または
イ 運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなど、顔写真付きの公的な証明書 どれか1つ+認印
【利害関係人が手続きする場合】
・遺言者が亡くなったことが記載された戸籍(除籍)謄本
・(相続人が請求手続きする場合)遺言者の相続人であることを証明する戸籍謄本
・(相続人以外の者が手続きする場合)相続人以外の者が「法律上の利害関係」を有することを証明する資料
・利害関係人の印鑑証明(発行後3ヶ月以内のもの)と実印
または
・利害関係人の運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなど、顔写真付きの公的な証明書 どれか1つ+認印
【利害関係人の代理人が手続きする場合】
・利害関係人の実印が捺印された委任状
・利害関係人の印鑑登録証明書(3ヶ月以内に発行されたもの)
・(相続人の代理人が請求手続きする場合)遺言者の相続人であることを証明する戸籍謄本
・(相続人以外の者の代理人が手続きする場合)相続人以外の者が「法律上の利害関係」を有することを証明する資料
・代理人の身分を証明するもの
ア 代理人本人の印鑑登録証明書(発行後3箇月以内のもの)+実印
または
イ 運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなど、顔写真付きの公的な証明書 どれか1つ+認印
5 再発行手数料
公正証書の謄本は、ページ1枚につき250円です。
※公正証書の謄本の閲覧のみの場合は200円です。
遺言を作成した公証役場がわからない場合はどうすれば良い?
公正証書は、作成した公証役場で再発行してもらえます。
作成した公証役場以外では再発行してもらえないので注意が必要です。
では、公正証書がどこの公証役場で作成されたのか分からない場合はどうすればいいのでしょうか。
こうした場合、遺言検索システムを利用すれば、目的の遺言書が全国どこの公証役場で作成されたのかを無料で検索することができます。手続きは、最寄りの公証役場で行えます。
遺言検索システムの詳細と検索方法ははこちら
離婚給付公正書の場合
1請求先
離婚給付公正証書を作成した公証役場
2請求者
①当事者 (債権者または債務者)
・債権者(金銭等給付を受ける方)
・債務者(金銭等給付をする方)
②当事者のの代理人
3必要書類
【当事者本人が手続きする場合】
・当事者本人の身分を証明するもの
・印鑑証明書(発行後3か月以内のもの)と実印
または
・運転免許証、マイナンバーカード、旅券(パスポート)など、顔写真付きの公的な証明書 どれか1つ+認印
【当事者の代理人が手続きする場合】
・本人の実印を押捺した委任状
・当事者本人の印鑑登録証明書(3箇月以内のもの)
・代理人の身分証明する書類
ア 印鑑証明書(発行後3か月以内のもの)と実印
または
イ 運転免許証、マイナンバーカード、旅券(パスポート)など、顔写真付きの公的な証明書 どれか1つ+認印
4再発行手数料
公正証書の謄本は、ページ1枚につき250円です。
※公正証書の謄本の閲覧のみの場合は200円です。
公証役場を利用する際に注意すべきこと
公証役場によっては、その日のうちに対応できない場合や混み合う時間帯があります。
また、先約の方がいれば時間どおりに進まないこともありますので、十分に余裕を持って利用することをおすすめします。
本記事では、再発行に必要な書類などについても解説しておりますが、手続きを行う際には、あらためて該当の公証役場に必要書類や手数料などの確認をおこなってから手続きすることをおすすめします。
当事務所では、公正証書遺言、離婚給付公正証書の作成、ご相談を承っております。
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