離婚することになったとき、夫婦で話し合って決めた内容を書面に残すために作成するのが「離婚協議書」です。
養育費や財産分与、面会交流、慰謝料などについて話し合いがまとまったものの、
「離婚協議書は自分で作れるのだろうか」
「インターネットにある無料のひな形を使っても大丈夫?」
「ChatGPTなどのAIを使って作成しても問題ない?」
「行政書士に依頼すると何が違うの?」
と疑問に思う方もいるでしょう。
結論からいうと、離婚協議書は夫婦が自分たちで作成することもできます。
インターネット上には無料で利用できるひな形も数多く掲載されており、それを参考にして作成することも可能です。また、近年ではChatGPTなどの生成AIを利用して、離婚協議書のたたき台を作成する方法もあります。
しかし、離婚の事情や夫婦の財産状況、子どもの有無などは家庭によって異なります。
そのため、一般的なひな形やAIが作成した文章をそのまま使用すると、自分たちに必要な取り決めが抜け落ちたり、夫婦の事情に合わない内容になったりする可能性があります。
離婚協議書は、一度作成すればそれで終わりという書類ではありません。養育費のように長期間にわたって支払いが続く取り決めや、財産分与、住宅ローンなど、離婚後の生活に大きな影響を与える内容が含まれることもあります。
だからこそ、「とりあえずひな形を使えばよい」「AIが作った文章だから大丈夫」と考えるのではなく、自分たちの事情に合った内容になっているかを慎重に確認することが大切です。
この記事では、離婚協議書を自分で作成する方法、無料のひな形を利用する場合の注意点、AIを活用するメリット・デメリット、行政書士に作成を依頼するメリットについて、わかりやすく解説します。
離婚協議書とは?
離婚協議書とは、夫婦が離婚に際して話し合い、合意した内容を書面にまとめたものです。
協議離婚の場合、夫婦が離婚することに合意し、離婚届を市区町村役場に提出して受理されれば離婚は成立します。
法律上、離婚協議書を作成しなければ離婚できないわけではありません。
しかし、離婚するときには、さまざまな問題について話し合う必要があります。
たとえば、次のような内容です。
・養育費
・財産分与
・慰謝料
・面会交流
・年金分割
・住宅ローン
・子どもの進学費用
・離婚後の連絡方法
こうした内容について口頭で約束するだけでは、時間が経過したときに「言った」「言わない」というトラブルになる可能性があります。
そこで、夫婦が合意した内容を離婚協議書として書面に残しておくことが重要になります。
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離婚協議書を作成する必要性について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
▶ 離婚協議書は本当に必要? ~離婚後に困るのは実はお金より「記憶」です~
離婚協議書は自分で作成できる?
離婚協議書は、必ず弁護士や行政書士などの専門家に依頼しなければならない書類ではありません。
夫婦が自分たちで作成することも可能です。
たとえば、夫婦の間に未成年の子どもがおらず、財産分与の対象となる財産も少ない場合には、比較的シンプルな内容の離婚協議書になることがあります。
夫婦双方が離婚条件について十分に理解し、話し合いがまとまっているのであれば、自分たちで作成することも選択肢の一つでしょう。
しかし、「自分で作成できる」ということと、「適切な内容の離婚協議書を作成できる」ということは同じではありません。
離婚協議書は、夫婦が離婚するときの約束を記録する重要な書類です。
内容によっては、離婚後何年、場合によっては十年以上にわたって影響することがあります。
そのため、自分で作成する場合でも、将来起こり得る問題を考えながら慎重に内容を検討する必要があります。
インターネットの無料ひな形を使っても大丈夫?
インターネットで「離婚協議書 ひな形」や「離婚協議書 テンプレート」と検索すると、多くの書式が見つかります。
無料でダウンロードできるものもあり、離婚協議書を作成するときの参考資料として利用することはできます。
しかし、ひな形をそのまま使用することには注意が必要です。
なぜなら、離婚の事情は夫婦によって異なるからです。
たとえば、未成年の子どもがいる夫婦と、子どもがいない夫婦では、離婚協議書に記載すべき内容が異なります。
住宅ローンが残っている自宅がある場合と、夫婦に大きな財産がない場合でも必要な条項は変わります。
さらに、養育費の支払方法、子どもの進学費用、面会交流の方法なども家庭によって事情が異なります。
一般的なひな形は、多くの人が利用できるように作られています。
そのため、自分たち夫婦に必要な取り決めが含まれているとは限りません。
ひな形をそのまま使う場合の注意点
必要な条項が抜ける可能性がある
離婚協議書に記載する内容は、夫婦の状況によって異なります。
一般的なひな形には、
・養育費
・財産分与
・慰謝料
・面会交流
などの基本的な条項が記載されています。
しかし、実際の離婚では、それ以外にも決めておいた方がよい問題があります。
たとえば、子どもの大学進学費用、入院や手術などの高額な医療費、住宅ローンの負担、生命保険の取り扱いなどです。
ひな形に書かれている項目だけを見て離婚協議書を作成すると、本来決めておくべき問題を見落とす可能性があります。
自分たちに不要な条項が含まれている場合がある
反対に、ひな形には自分たちには必要のない条項が含まれていることもあります。
内容を十分に理解しないまま使用すると、夫婦の合意内容と離婚協議書の記載内容に違いが生じる可能性があります。
離婚協議書では、「ひな形に書いてあったから」という理由だけで条項を入れるべきではありません。
一つ一つの条項について意味を理解し、自分たちに必要かどうかを判断することが大切です。
曖昧な表現がトラブルの原因になる
離婚協議書では、できるだけ具体的に内容を記載することが重要です。
たとえば、
「養育費は毎月きちんと支払う」
という記載では、金額、支払日、支払方法などが明確ではありません。
「甲は乙に対し、長男○○の養育費として、令和○年○月から長男が満○歳に達する月まで、毎月末日限り、月額○万円を乙指定の金融機関口座に振り込んで支払う」
など、具体的な内容を定める必要があります。
言葉の意味が曖昧な条項は、離婚後のトラブルにつながる可能性があります。
離婚協議書で決めておきたい主な内容
離婚協議書を作成するときには、夫婦の状況に応じて必要な事項を検討します。
養育費
未成年の子どもがいる場合には、養育費について決めます。
主な内容は、
・養育費の金額
・支払開始時期
・支払終了時期
・毎月の支払日
・振込先
・振込手数料の負担
などです。
単に「毎月○万円を支払う」と決めるだけでは十分とはいえません。
将来の進学や病気などについても検討しておくことが大切です。
財産分与
婚姻期間中に夫婦が協力して築いた財産は、離婚するときに財産分与の対象になることがあります。
主な財産には、
・預貯金
・不動産
・自動車
・生命保険
・株式
・投資信託
・退職金
などがあります。
財産分与については、どの財産を誰が取得するのか、金銭を支払う場合には金額や支払期限などを明確にします。
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離婚時の財産分与について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
▶ 財産分与とは?対象になる財産・ならない財産を行政書士がわかりやすく解説
面会交流
子どもと離れて暮らす親との面会交流についても、必要に応じて離婚協議書に記載します。
面会交流では、
・頻度
・日時
・場所
・子どもの受け渡し方法
・連絡方法
・学校行事への参加
などについて検討します。
ただし、あまりにも細かく決めすぎると、子どもの成長や生活環境の変化に対応できなくなる可能性があります。
一定の柔軟性を持たせることも重要です。
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▶ 面会交流はどう決める?トラブルにならない取り決め方を行政書士がわかりやすく解説
住宅ローン
住宅ローンが残っている自宅がある場合には、特に慎重な検討が必要です。
・誰が自宅に住み続けるのか
・誰が住宅ローンを支払うのか
・自宅を売却するのか
・住宅ローンの名義は誰か
・連帯保証人や連帯債務者になっていないか
などを確認する必要があります。
夫婦間で「夫が住宅ローンを支払う」と約束しても、その約束によって金融機関との契約内容が当然に変更されるわけではありません。
離婚協議書を作成するときには、夫婦間の約束と金融機関との契約を分けて考える必要があります。
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離婚協議書を自分で作成するメリット
離婚協議書を自分で作成する最大のメリットは、専門家への依頼費用がかからないことです。
また、夫婦だけで話し合いながら作成できるため、自分たちのペースで進めることができます。
インターネットや書籍などで情報を調べ、十分な知識を得たうえで作成できるのであれば、自分たちで離婚協議書を作成する方法もあります。
ただし、費用がかからないことだけを理由に自分で作成するかどうかを判断するのはおすすめできません。
離婚協議書は、作成した時点では問題がなくても、数年後に問題が発生することがあります。
将来を見据えた内容になっているかどうかが重要です。
離婚協議書を自分で作成するデメリット
必要な取り決めを見落とす可能性がある
離婚するときには、夫婦自身も気づいていない問題が隠れていることがあります。
離婚を急ぐあまり、目の前の問題だけを解決し、将来必要になる取り決めを忘れてしまうこともあります。
条項の書き方が適切かわからない
夫婦が合意している内容を、どのような文章で離婚協議書に記載すればよいかわからないことがあります。
日常的な言葉としては意味が通じても、書面の表現としては曖昧な場合があります。
インターネットの情報が自分たちに当てはまるとは限らない
インターネットには多くの情報がありますが、離婚の事情は夫婦によって異なります。
他の夫婦に適した内容が、自分たちにも適しているとは限りません。
複数のサイトから条項をコピーして組み合わせた結果、離婚協議書全体として内容に矛盾が生じる可能性もあります。
行政書士に離婚協議書の作成を依頼するメリット
夫婦の事情に合わせた離婚協議書を作成できる
行政書士に依頼するメリットの一つは、夫婦の事情を確認したうえで書類を作成できることです。
子どもの有無、財産状況、住宅ローン、養育費、面会交流など、離婚の事情は夫婦によって異なります。
一般的なひな形ではなく、それぞれの事情に応じた離婚協議書を作成できます。
必要な取り決めを整理できる
離婚を経験することは、多くの方にとって人生で何度もあることではありません。
そのため、「何を決めればよいのかわからない」という方も少なくありません。
行政書士に相談することで、夫婦の状況に応じて書面にしておいた方がよい事項を整理できます。
合意内容を明確な文章にできる
夫婦の間では理解できている内容でも、それを書面にするときには表現方法に注意が必要です。
「必要になったら支払う」
「できる限り協力する」
「子どもが希望した場合には面会する」
などの表現は、将来解釈をめぐって問題になる可能性があります。
合意した内容をできるだけ具体的な文章にすることが大切です。
公正証書の作成も見据えて準備できる
養育費や慰謝料、財産分与など、金銭の支払いを伴う取り決めがある場合には、公正証書の作成を検討することがあります。
特に長期間にわたって養育費を支払う場合などには、離婚協議書を作成する段階から公正証書にすることを見据えて内容を検討することが重要です。
公正証書の制度や作成手続きについては、日本公証人連合会の公式サイトでも確認できます。
▶ 日本公証人連合会公式サイト
離婚協議書を自分で作成するときによくある失敗
離婚協議書を自分で作成する場合には、インターネット上のひな形を参考にしながら作業を進める方も多いでしょう。
しかし、離婚協議書は必要な項目を並べれば完成するものではありません。
夫婦が話し合って決めた内容を正確に反映するとともに、離婚後の生活状況の変化なども考えながら作成する必要があります。
ここでは、離婚協議書を自分で作成するときによくある失敗について解説します。
離婚を急いで十分な話し合いをしない
離婚することが決まると、「できるだけ早く離婚届を提出したい」と考える方もいます。
特に夫婦関係が悪化している場合には、相手との話し合いを早く終わらせたいと思うこともあるでしょう。
しかし、離婚を急ぐあまり、養育費や財産分与などについて十分な話し合いをしないまま離婚協議書を作成すると、離婚後に問題が残る可能性があります。
離婚協議書を作成するときには、まず夫婦の間にどのような問題があるのかを整理することが大切です。
未成年の子どもがいるのであれば、養育費や面会交流について検討する必要があります。
夫婦で築いた財産がある場合には、預貯金、不動産、自動車、生命保険、株式などについて確認しなければなりません。
住宅ローンが残っている場合には、自宅の名義だけでなく、住宅ローンの契約内容についても確認する必要があります。
離婚協議書を作成する前に、夫婦で話し合うべき問題を一つずつ整理することが重要です。
金額だけを決めて支払方法を決めていない
養育費や慰謝料、財産分与などの金銭の支払いについて、金額だけを決めて安心してしまうことがあります。
しかし、離婚協議書では金額だけでなく、
・いつから支払うのか
・いつまで支払うのか
・毎月何日に支払うのか
・どの口座に振り込むのか
・振込手数料は誰が負担するのか
などについても検討する必要があります。
たとえば、「養育費として毎月5万円を支払う」とだけ記載した場合、支払日や支払方法が明確ではありません。
夫婦が離婚すると、それぞれ別々の生活を始めることになります。
離婚後に何度も連絡を取り合わなくても済むように、離婚協議書を作成する段階で具体的な支払方法まで決めておくことが大切です。
将来起こる可能性がある問題を考えていない
離婚協議書を作成するときには、現在の状況だけでなく、将来起こる可能性がある問題についても考える必要があります。
たとえば、子どもがまだ小さい場合には、将来、高校や大学への進学費用が必要になる可能性があります。
病気やけがによって高額な医療費が発生することも考えられます。
離婚時点では問題になっていないため、こうした費用について何も決めないまま離婚するケースもあります。
しかし、実際に費用が必要になってから話し合おうとしても、元夫婦の関係や生活状況が変化している可能性があります。
将来発生するすべての問題を予測することはできません。
それでも、離婚時点で予想できる問題については、できる限り話し合っておくことが重要です。
ひな形の内容を理解しないまま使用する
インターネット上のひな形には、さまざまな条項が記載されています。
専門的な表現が使われていることもあり、内容を十分に理解しないまま使用してしまう方もいるでしょう。
しかし、離婚協議書は夫婦の合意内容を記録する書類です。
意味がわからない条項や、自分たちに必要かどうかわからない条項をそのまま記載することはおすすめできません。
特に注意したいのが、複数のウェブサイトから条項をコピーして離婚協議書を作成する場合です。
一つ一つの条項には問題がなくても、組み合わせることによって内容に矛盾が生じる可能性があります。
ひな形はあくまで参考資料として利用し、自分たちの事情に合わせて内容を検討することが大切です。
AIを使って離婚協議書を作成することはできる?
近年では、ChatGPTなどの生成AIを利用して文章を作成することが身近になりました。
「離婚協議書を作ってください」とAIに指示すれば、短時間で離婚協議書の文章を作成することもできます。
インターネット上のひな形を探して自分で修正する方法と比べても、夫婦の状況や希望する条件を入力することで、それらの事情を反映した文章を作成できる点は大きな特徴です。
そのため、離婚協議書を自分で作成しようと考えている方の中には、生成AIの利用を検討する方もいるでしょう。
しかし、AIが作成した離婚協議書をそのまま使用することには注意が必要です。
AIは離婚協議書を作成するための便利な補助ツールにはなりますが、作成された内容が自分たち夫婦の事情に適しているとは限らないからです。
AIを使って離婚協議書を作成するメリット
AIを利用するメリットの一つは、離婚協議書のたたき台を短時間で作成できることです。
たとえば、
・未成年の子どもがいる
・毎月養育費を支払う
・財産分与として一定額を支払う
・定期的に面会交流を行う
といった条件を入力することで、それらの内容を盛り込んだ文章を作成できます。
離婚協議書を初めて作成する方にとって、「何から書き始めればよいかわからない」という問題を解消する手段の一つになるでしょう。
また、AIに質問しながら内容を整理できることもメリットです。
「離婚協議書にはどのような項目を記載すればよいですか」
「養育費について何を決めておけばよいですか」
などと質問することで、離婚時に話し合うべき内容を整理するための参考にできます。
AIを使って離婚協議書を作成するデメリット
一方、AIが作成した文章が法律上適切であるとは限りません。
文章として自然で、一見すると問題のない離婚協議書に見えても、必要な条項が抜けていたり、夫婦の事情に合っていなかったりする可能性があります。
また、AIは利用者が入力した情報をもとに回答を作成します。
そのため、利用者自身が重要な問題に気づいていなければ、その問題を考慮しないまま離婚協議書が作成される可能性があります。
たとえば、住宅ローンが残っている自宅について相談する場合でも、連帯保証、連帯債務、ペアローンなどの契約状況を正確に伝えなければ、夫婦の状況に適した内容にならないことがあります。
さらに、AIはもっともらしい文章を作成することが得意ですが、その内容が常に正確であるとは限りません。
AIは、もっともらしい文章を作成できる一方で、制度の説明が不正確だったり、個別の事情に合わない条項を提案したりすることがあります。
AIが作成した文章だから正しいと考え、そのまま離婚協議書として使用することは避けた方がよいでしょう。
当事務所に相談のあった事例
以前、当事務所に「AIを使って離婚協議書を作成したので、内容を確認してほしい」というご相談がありました。
ご夫婦の間には未成年のお子さんがおり、AIを利用して養育費や面会交流、財産分与などについて定めた離婚協議書を作成していました。
一見すると、必要な項目が盛り込まれており、文章としてもきれいにまとまっていました。
しかし、詳しくお話を伺うと、離婚協議書には記載されていない問題があることがわかりました。
お子さんは将来、大学への進学を希望していましたが、入学金や授業料などの進学費用をどのように負担するのかについては何も決められていませんでした。
また、養育費についても「毎月○万円を支払う」と記載されているだけで、支払日や振込先、振込手数料を誰が負担するのかなどが明確になっていませんでした。
さらに、夫婦で所有している自動車についても、離婚後に誰が取得するのかが離婚協議書に記載されていませんでした。
ご相談者は、
「AIに必要なことを伝えて作成してもらったので、これで問題ないと思っていました」
とお話しされていました。
AIは、入力された情報をもとに文章を作成します。
しかし、利用者自身が進学費用や財産分与の対象となる財産などに気づいていなければ、それらの問題が離婚協議書に反映されないことがあります。
この事例でも、ご夫婦の状況を一つずつ確認することで、AIが作成した離婚協議書だけでは整理できていなかった問題が見つかりました。
AIを利用して離婚協議書のたたき台を作成することは便利な方法です。
しかし、大切なのは、完成した文章だけを確認するのではなく、その前提となる夫婦の事情や財産状況、子どもの将来についても十分に整理することです。
AIに個人情報を入力するときにも注意が必要
AIを利用するときには、入力する情報にも注意が必要です。
離婚協議書には、夫婦や子どもの氏名、住所、生年月日、勤務先、収入、預貯金、不動産、住宅ローンなど、多くの個人情報や財産に関する情報が関係します。
離婚協議書を作成するためだからといって、利用するAIサービスの仕組みやデータの取り扱いを確認せず、必要以上の個人情報を入力することはおすすめできません。
AIを利用する場合には、実名や住所などをそのまま入力するのではなく、「夫」「妻」「長男」「A銀行」などに置き換える方法もあります。
利用するサービスのプライバシーポリシーやデータの取り扱いについて確認することも大切です。
AIは離婚協議書作成の「補助ツール」として活用する
AIを使って離婚協議書を作成すること自体が問題なのではありません。
重要なのは、AIが作成した文章をどのように利用するかです。
離婚時に話し合うべき項目を整理したり、離婚協議書のたたき台を作成したりするためにAIを利用することは、一つの方法でしょう。
しかし、最終的な離婚協議書については、
・必要な取り決めがすべて含まれているか
・夫婦の合意内容が正確に反映されているか
・曖昧な表現が使われていないか
・条項同士に矛盾がないか
・将来起こり得る問題について検討されているか
などを確認する必要があります。
AIは便利な道具ですが、夫婦それぞれの事情を完全に把握し、将来の問題まですべて予測してくれるわけではありません。
離婚協議書のたたき台や検討事項の整理にはAIを活用し、最終的な書面の内容に不安がある場合には、行政書士などの専門家に確認や作成を依頼するという使い分けも考えられます。
離婚協議書を作成する前に準備しておきたい資料
離婚協議書を作成するときには、夫婦の記憶だけを頼りに話し合うのではなく、必要な資料を確認することも重要です。
どのような資料が必要になるかは夫婦の状況によって異なりますが、あらかじめ準備しておくことで話し合うべき内容を整理しやすくなります。
預貯金に関する資料
財産分与について話し合う場合には、夫婦の預貯金を確認します。
銀行名や支店名だけでなく、口座の残高などについても確認しておきましょう。
複数の金融機関に口座がある場合には、財産の確認漏れがないよう注意が必要です。
不動産や住宅ローンに関する資料
夫婦が自宅や土地などの不動産を所有している場合には、不動産の名義や住宅ローンの契約内容を確認します。
登記事項証明書、住宅ローンの返済予定表、金融機関との契約書類などが参考になります。
特に住宅ローンが残っている場合には、不動産の所有名義と住宅ローンの契約者が同じとは限りません。
連帯保証や連帯債務、ペアローンなどが利用されている場合もあるため、契約内容を正確に確認することが大切です。
生命保険や学資保険に関する資料
生命保険や学資保険についても確認しておきましょう。
保険の種類によっては、解約した場合に解約返戻金を受け取れることがあります。
また、離婚後に契約者や受取人を変更する必要がある場合もあります。
保険証券などを確認し、契約内容を整理しておくことが大切です。
子どもに関する資料
未成年の子どもがいる場合には、養育費や進学費用などについて話し合う必要があります。
現在の教育費や習い事の費用、将来の進学予定などを確認しておくと、離婚後に必要となる費用を考えやすくなります。
離婚協議書を作成する前に必要な資料を整理することは、財産や子どもに関する問題の見落としを防ぐことにもつながります。
自分で作成するか行政書士に依頼するか迷ったら
離婚協議書を自分で作成するか、行政書士に依頼するかについて、すべての方に共通する答えがあるわけではありません。
夫婦間に大きな財産がなく、未成年の子どももおらず、離婚条件が非常にシンプルな場合には、自分たちで作成できることもあります。
一方、
・未成年の子どもがいる
・養育費を長期間支払う
・財産分与する財産が複数ある
・住宅ローンが残っている
・慰謝料の支払いがある
・分割払いの約束がある
・公正証書を作成したい
といった場合には、専門家への相談を検討する価値があります。
大切なのは、「離婚協議書を作ること」自体を目的にしないことです。
離婚後の生活をできるだけ安心してスタートするために、夫婦が合意した内容を適切な形で残すことが離婚協議書を作成する目的です。
離婚協議書を作成する前のチェックリスト
離婚協議書作成前チェックリスト
離婚協議書を作成する前には、次の点を確認してみましょう。
□ 養育費の金額を決めたか
□ 養育費の支払期間を決めたか
□ 子どもの進学費用について話し合ったか
□ 面会交流について話し合ったか
□ 夫婦の預貯金を確認したか
□ 不動産の名義を確認したか
□ 住宅ローンの残高と契約内容を確認したか
□ 生命保険や学資保険を確認したか
□ 株式や投資信託を確認したか
□ 自動車などの財産を確認したか
□ 慰謝料について話し合ったか
□ 金銭の支払期限や支払方法を決めたか
□ 離婚後に連絡が必要になった場合の方法を決めたか
□ 公正証書を作成するか検討したか
一つでも決まっていない項目がある場合には、離婚協議書を作成する前に、夫婦で改めて話し合うことをおすすめします。
まとめ
離婚協議書は、夫婦が自分たちで作成することもできます。
インターネット上の無料ひな形を参考にしたり、ChatGPTなどの生成AIを活用して離婚協議書のたたき台を作成したりすることも可能です。
無料のひな形や生成AIは、離婚協議書を自分で作成したい方にとって便利な手段といえるでしょう。
しかし、離婚の事情や夫婦の財産状況、子どもの有無などは家庭によって異なります。
一般的なひな形をそのまま使用すると、自分たちに必要な取り決めが抜けたり、反対に必要のない条項が含まれたりする可能性があります。
また、AIを利用すれば夫婦の事情に合わせた文章を短時間で作成できますが、AIが作成した内容が必ずしも正確であるとは限りません。必要な条項が抜けていたり、夫婦の事情に適していない内容が含まれていたりする可能性もあります。
そのため、「インターネットで見つけたひな形だから大丈夫」「AIが作成した文章だから正しい」と考え、そのまま離婚協議書として使用することには注意が必要です。
特に、未成年の子どもがいる場合、長期間にわたる養育費の支払いがある場合、財産分与する財産が複数ある場合、住宅ローンが残っている場合、慰謝料などを分割で支払う場合には、離婚後の生活まで考えて離婚協議書を作成することが大切です。
離婚協議書は、単に夫婦の約束を書いた書類ではありません。
離婚時に夫婦で合意した内容を明確にし、離婚後の「言った」「言わない」というトラブルを防ぐための重要な書類です。
無料のひな形やAIを上手に活用することも一つの方法ですが、大切なのは、完成した離婚協議書が自分たちの事情に合った内容になっているか、必要な取り決めが漏れなく記載されているかを確認することです。
小川たけひろ行政書士事務所では、夫婦で合意した内容を丁寧に確認し、それぞれの事情に応じた離婚協議書の作成をサポートしています。
「自分で作成した離婚協議書の内容に不安がある」
「インターネットのひな形を使ってよいかわからない」
「AIで作成した離婚協議書をそのまま使ってよいのか不安」
「何を離婚協議書に書けばよいかわからない」
「公正証書の作成を検討している」
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