子供がいる夫婦が離婚を考えたとき、気になるのが「養育費」の問題です。
「養育費はいつまで支払うの?」
「毎月いくらが相場なの?」
「途中で支払われなくなったらどうするの?」
このような疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
養育費は、子どもが健やかに成長するために必要なお金です。離婚したからといって親子関係がなくなるわけではありません。子どもを扶養する義務は、離婚後も父母の双方にあります。
この記事では、養育費の支払期間や相場、決める際の注意点について分かりやすく解説します。
養育費とは?
養育費とは、子どもを監護・養育するために必要な費用のことです。
具体的には、
・食費
・衣類代
・住居費
・教育費
・医療費
・日用品代
など、子どもの生活に必要な費用が含まれます。
離婚後、子どもと一緒に暮らしていない親も、養育費を負担する義務があります。
養育費はいつまで支払うの?
養育費について最も多い質問が、「いつまで支払う必要があるのか」というものです。
実は法律で一律に決まっているわけではありません。
一般的には、
「子どもが20歳になるまで」
と定めるケースが多く見られます。
ただし最近では、
「大学卒業まで」
「22歳到達後の最初の3月まで」(つまり大学を卒業する月まで)
と取り決めるケースも増えています。
特に大学進学を予定している場合には、高校卒業で養育費が終了すると学費負担が大きな問題になることがあります。
そのため、
・20歳まで
・大学卒業まで
・22歳到達後の最初の3月まで
など、離婚時に明確に決めておくことが重要です。
養育費の相場はいくら?
養育費には明確な定額があるわけではありません。
父母それぞれの収入や子どもの人数、年齢によって金額が変わります。
家庭裁判所では「養育費算定表」という基準が参考にされています。
例えば、
父:会社員 年収500万円
母:パート 年収100万円
子ども1人(0~14歳)
の場合、
月額4万円~6万円程度
が一つの目安になります。
また、
父:年収700万円
母:年収100万円
子ども1人
の場合は、
月額8万円~10万円程度
になることもあります。
もちろん個別事情によって異なるため、必ずしも算定表どおりになるわけではありません。
しかし、養育費について話し合う際の重要な基準となっています。
学費や塾代は養育費に含まれる?
通常の養育費には、小学校・中学校・高校の授業料や給食費、教材費、文房具代など、子どもが日常的に教育を受けるために必要な一般的な教育費が含まれていると考えられています。
しかし、
・私立学校への進学に伴う入学金や授業料
・大学進学時の受験費用、入学金、授業料
・海外留学にかかる渡航費や学費
・受験対策のための高額な塾代や予備校費用
などは、通常の養育費だけでは賄えない特別な教育費として扱われることがあります。養育費算定表で想定されている教育費は、主に公立学校への進学を前提とした一般的な教育費であるため、私立学校の学費のように高額な費用までは十分に反映されていない場合があります。
そのため、私立学校への進学を希望する場合には、進学の必要性や家庭の経済状況、これまでの教育方針などを踏まえ、追加の負担をどちらがどの程度負うのかを別途協議する必要があります。
また、大学進学費用や留学費用についても、金額が大きくなることから、当然に養育費に含まれるとは限りません。離婚時に何も取り決めをしていないと、「そこまで負担するつもりはなかった」「進学を認めていない」といった争いに発展することがあります。
そのため、これらの費用をどちらがどの程度負担するのかについては、離婚時に別途協議し、あらかじめ取り決めておくことが望ましいとされています。特に大学進学費用は数百万円に及ぶこともあるため、後々のトラブルを防ぐためにも事前の話し合いが重要です。
離婚時に何も決めていないと、
「大学費用は払わない」
「払う約束だったはずだ」
というトラブルになることも少なくありません。
そのため、
「大学進学時の入学金・授業料は双方で協議する」
「学費の半額を負担する」
など、具体的に定めておくと安心です。
養育費を支払わなくてもよい場合はある?
養育費は子どもの権利と考えられています。
そのため、
「面会交流をさせてもらえない」
「元配偶者と関わりたくない」
という理由だけで支払いを拒否することはできません。
また、再婚したからといって自動的に養育費の支払い義務がなくなるわけでもありません。
ただし、
・大幅な収入減少
・失業
・病気による就労不能
など事情が大きく変わった場合には、養育費の減額を求められる可能性があります。
反対に、支払う側の収入が大幅に増えた場合には、増額請求が認められることもあります。
養育費が支払われなくなったら?
離婚時には支払う約束をしていても、数年後に支払いが止まってしまうケースは珍しくありません。
こども家庭庁が公表している調査結果でも、養育費を現在も継続して受け取っている母子世帯の割合は決して高くなく、養育費の不払いが大きな社会問題となっています。
当事務所にも、「養育費の支払いがされなくなったのですが、どうすればよいでしょうか」というご相談が多く寄せられます。
こうしたご相談の多くは、離婚前に「口約束」だけで養育費の支払いについて取り決めてしまったケースです。
「口約束だけ」
で済ませるのは大きなリスクがあります。
後から
「そんな約束はしていない」
と言われてしまう可能性があるからです。
離婚協議書や公正証書を作成しておく重要性
養育費について取り決めをした場合は、必ず書面に残しておきましょう。
特におすすめなのが、公正証書の作成です。
公正証書には、
「支払いが滞った場合には強制執行を受けても異議はありません」
という条項を入れることができます。
この条項があれば、裁判を経ることなく給与や預金の差押えを進められる場合があります。
将来のトラブルを防ぐためにも、
・支払金額
・支払期限
・支払方法
・終了時期
・進学費用の負担
などを明確にしておくことが大切です。
まとめ
養育費は、離婚した夫婦の問題ではなく、子どもの生活と成長を支えるためのお金です。
支払期間は一般的に20歳までとされることが多いものの、最近では、大学卒業までと定めるケースもあります。
また、養育費の金額は父母の収入や子どもの人数によって異なりますが、家庭裁判所の養育費算定表が重要な目安となります。
そして何より大切なのは、取り決めた内容をきちんと書面に残しておくことです。
離婚時には冷静に話し合いができていても、年月の経過とともに状況や気持ちが変化することがあります。
将来のトラブルを防ぎ、お子さまの生活を守るためにも、養育費については離婚前にしっかりと取り決めておくことをおすすめします。
養育費や離婚協議書、公正証書の作成についてお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
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